茶室の十二ヶ月

暦に添って模様替え
於:知川庵 (2008年)

 みなさまは、茶道や茶室にどのような印象をお持ちでいらっしゃいましょうか。茶道は「きまりごとの多い、堅苦しい作法」、茶室は「何かよそ行きで、気詰まり」といったお声も実際によく耳にします。
 でも茶室を形作る畳、襖、障子、床の間、掛け軸、生け花、そして茶碗や建水(茶こぼし)、火箸、炭といった道具など、その多くはついこの間まで私達のごく身近にあったものばかり、そして今でも生活の中で息づいているものも沢山あります。それらで形作られた日本独特の生活空間の中で営まれてきた日常生活、そこに根ざして生まれ、育まれた日本人気質の根源にあるものは「人への気配り」と言えるように思います。茶の湯はその日本人の心根、心映を形にし、作法として整えたものと言えそうです。母によれば「茶の湯の心はもてなす心と和の心」ということになります。
 茶室では、日常より少し多めの道具を使い、それらを季節に合わせて上手に組み合わせ、清らかで居心地の良い雰囲気を作り出す工夫を致します。お客様に心地よくお寛ぎいただくための工夫です。そして、そこで行われる茶の湯は心静かにお茶を点て、お菓子を楽しみ、居合わせた方々と穏やかな時間を共有するための日常よりは少し念入りな作法とお考えいただけばよいかと思います。
 茶室の道具の組み合わせや飾りつけは、日本の豊かな自然と季節を取り入れて、月毎に模様替えをします。その様子を、私の母の茶室「知川庵」を例にご紹介していきたいと思っています。

 
一月の茶室

白玉椿
二月の茶室

雪おこし
三月の茶室

海棠
四月の茶室

金花茶
五月の茶室

石楠花
六月の茶室

姫沙羅
七月の茶室

槿
八月の茶室

鷺草
九月の茶室

杜鵑
十月の茶室

秋明菊
十一月の茶室

石蕗
十二月の茶室

寒椿

こちらもお寄り下さい。     四季の茶花

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