十二月の茶室

 今年も余すところ僅かとなりました。町の中にも、人の心にも慌しさが日を追うごとに増していくようです。でも茶室はいつもと同じように、静かにひっそりとした佇まいを保って、訪れる方々を迎え入れます。釜からから立ち上る湯気の白さ、茶碗にたっぷりの茶の淡緑に、冷えた頬もせかせかとした心も温もって、皆さんの表情も寛ぎます。今年も穏やかに暮れて行くことを願いつつ、道具に、花に、茶菓子にと心を配って参ります。


 
 
十二月の茶室全景

軸:時期のもの 花:残花、残葉
棚:利休袋棚(志野袋棚)

 
 
十二月の床の間
今月は師走に因んだ軸二幅を使いました

忙中閑

茶筅売り

花入:備前 徳利
花::石蕗残花 燈台躑躅照り葉

花入:染付 徳利
花:山茶花 山ぼうし照り葉

花入:唐銅 徳利  花:南天の葉 侘び助椿

 
 
棚物(利休袋棚)

桐木地の大棚で、左下はけんどん蓋の地袋、右に違棚があり、脇板に香狭間透しが施されている。
香道の志野宗温所持の香棚を利休が 好み、茶の湯の棚に用いたと伝えられ、志野棚とも呼ばれる。


水指:御深井 茶器:輪島塗 五君子

 
 
濃茶入と濃茶茶碗



茶碗:萩井戸茶碗 坂田泥華作  茶入仕服:薩摩宮内間道

茶入:高取焼 鮟鱇型


 
 
薄茶器と薄茶茶碗

茶碗:備前   茶器:棗 五君子

 
 
十二月の菓子

秋の名残

柿中柚香

栗しぐれ

樅の木

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