十月の茶室

 月明かりの庭に鈴虫の音色が冴え、季節が日ごとに深まり行くのを感じます。柿の実が色ずき、日暮は早足です。朝晩は少し肌寒く、火の気が恋しい時もあります。茶室ではお客様から遠避けてあった釜を少し移動して、中置になりました。花はまだ夏の香りを微かに留めた残花を生けます。


 
 
十月の茶室全景

軸:画賛「稲穂に雀」  花入: 民芸籠 花:残花


 
 
十月の床の間

和気兆豊年
稲穂に雀
大徳寺 福本積応師

花:吾亦紅、花虎の尾、秋海棠、
朮 (オケラ)、白杜鵑、紫式部、
晒菜升麻(サラシナショウマ)

花:鷹羽薄杜鵑、秋明菊、藤袴、女郎杜鵑
大文字草、釣鐘人参

花:女郎杜鵑、唐糸草、水引草、松虫草、
河原撫子、秋明菊、玉紫陽花

 
 
棚物
1、大板 

棚の代わりに、普段より大きな敷板を用い、この上に道具の一部を飾ることも出来ます。大板と呼びます。釜の位置は点前畳の中央へと移り、水指、茶入他全ての道具を運び出して、点前をします。
 

たたみ中央に釜を置きつけます。釜の下の板が大板です。

大板の上には蓋置、柄杓を飾り付けることができます。

2、亀甲棚

江戸千家八代一元斎不白の好みと言われます。地板は亀甲形、中板に三日月形または蛤形のいずれかを用い、天板は雪輪の形の溜塗の棚で、竹の三本柱で組み立てられています。春先には蛤形を、秋口には三日月形を中段に入れて使います。
 

茶器:利休棗 吹き寄せ  水指:朝鮮唐津
 


 
 
濃茶入と濃茶茶碗

茶碗:高麗 銘「紅葉」  茶入仕服:宗薫緞子

茶入:肩付 丹波

 
薄茶器と薄茶茶碗

茶碗:広州窯 鉄釉   茶器:棗 吹き寄せ

 
 
 
十月の菓子


上用饅頭(菊)

芋羊羹

柚子餅

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