五月の茶室

爽やか季節を迎えました。勢いを増して広がる緑、咲き誇る花たち、何もかもが生きる喜びを謳歌しているようです。茶室も炉の季節を終わり、風炉の季節に入りました。お客様にぬくもりを伝えた炉は、炉蓋に覆われ、替わりに用意された風炉釜はお客様から遠ざけた場所に置かれています。これもお客様への気配りを表しているもののようです。


 
 
五月の茶室全景

 
 
床の間

掛け軸:山水有清音



花入:民芸竹籠
花:白雪芥子、紫蘭(紫、白)、露草、都忘

花入:竹籠黒丸
花:あじさい、露草(紫、白)、都忘れ、泡盛しょうま


 
 
端午の節句の日の床の間

軸:鍾馗の図 


軸に記された文字
花:時のもの 花入:染竹

陽気発処、金石亦透、精神一到、何事不成
不折筆(中村不折)

花:丁字草、黒百合、都忘れ(ピンク、紫)、
苧環、西洋苧環、鯛釣草、浜撫子、姫うつぎ


 
 
棚もの

知川庵では、風炉の季節には、2箇所に点前する場所を設け、それぞれに棚、風炉釜を用意します。

@長板

棚の替わりに、真塗の長板を使います。板の上に
風炉釜と皆具(点前の道具一式)を置き合わせてあります。

風呂先(長板の先の仕切)屏風:冬用から夏用に変わりました。
風炉の季節には、屏風仕立ては暑苦しいので、腰板に透かしを
入れたり、葭(よし)を張って、涼しげに仕立てたものを使います。

風炉:切合朝鮮風炉(唐銅) 釜:真形(鋳鉄製)  皆具:飛青磁皆具一式

 A桑子卓

桑子卓とは、元は床に置き香炉を飾る卓として使われたもので、下段の棚には花を飾ったそうです。それを茶道の棚に転用したもので、桑木地で作られた四本柱二重の小卓です。裏千家四代家元仙叟好みと言われています。

風炉:紅鉢 釜:筒形 茶入:甲赤 水指:染付  


初座の飾り

点前に使う道具全てを棚に飾った景色です

 
 
風炉(5月〜10月)の炭点前

風炉に替わると共に、炭籠、炭点前も変わります。羽、香合(陶器から木製へ)、炭も細いものへと変化が見られます。


風炉の炭点前をした後の景色です。
火種がお客様から遠い位置になっています。

釜にかける管は炭籠の中に入れてあります。
香合はボストンで見つけた小物入れの見立て物です。

 
 
濃茶入と濃茶茶碗

茶碗:鼠志野 茶入仕服:古代布

茶入:白萩

 
 
薄茶器と薄茶茶碗

茶器:薬器棗「藤」  茶碗:志野沓形

 
 
五月の茶菓子



若もみじ

柏餅

皐月

桜饅頭(高遠)

「茶室の十二ヶ月」表紙へ    次へ