三月の茶室

気温はなかなか定まりませんけれど、木々の芽吹きもそこここに見られ、雪柳や小手毬の清楚な白が早春の陽を浴びて輝いています。寒さに耐えて冬越しした花々の華やぎや、陽だまりに集う小鳥たちの賑わいからも、すぐそこまで来ている春の息吹きを感じます。今月の茶室は、ようやく手にした春の香りを部屋いっぱいに込めました。その雰囲気を軸、棚、花、茶碗、茶入、菓子などに感じ取っていただけましたらと思います。


 
 
三月の茶室全景

棚:三友棚  軸:春草生  花:時のもの 花入:黒鶴首


 
 
床の間

軸:春草生 すみれ、たんぽぽ

 

花:土佐みずき、薮椿 花入:黒釉竹型

花:伊予みずき 白玉椿 花入:磁器鶴首

 
 
棚:三友棚

名前の謂れ
明治初年、大徳寺牧宗和尚の三千家融和へのはからいに応じて、
表千家十一世 瑞翁宗左が、松材で円形の天板と方形の地板を考案し、
裏千家十二世直叟宗室は、竹の二本柱でこの天板と地板を繋ぎ、
武者小路千家十一世 一叟宗守が天板の側面にこぼれ梅の蒔絵を
描いて、三者合作の棚を作りました。
「松竹梅」と「三千家」に因み三友棚と名付けられたとのことです。


茶器:龍玉 水指:御深井(おふけ)
竹柱の向って左の節に仕服や柄杓を掛ける小枝が残して在ります。

三友棚の飾り方の一例です。
茶碗:粉引き 茶器:仏器棗

 
 
濃茶入と濃茶茶碗

茶碗:黒楽  茶入仕服:小菊菱垣緞子

茶入:萩

 
 
薄茶器と薄茶茶碗

茶器:龍玉  茶碗:はまぐり

 
三月の茶菓子

雛衣

お雛干菓子

胡桃饅頭

春爛漫

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