二月の茶室


外の空気はまだまだ冷たいのですけれど、木の芽が少 しずつ膨らんで、明るさを増した陽射しに花たちも元気を取り戻しているようです。耳を済ませば、彼方から春の足音が聴こえてくるような気も致します。二月 の茶室はまだ冬ごもりですけれど、その中にも春の香りがほんのりと感じられる道具が加わってまいります。床の軸、花、そして茶碗や茶器などにその雰囲気を 汲み取っていただけましたらと存じます。


 
二月の茶室風景

床の間 軸:梅画賛   床花:時のもの  
棚:紹鴎棚


 
 
 
 
 
 
 
 
床の間


梅画賛 
右から「雪満山中富士掛月明林下美人来


花入:山中塗 花:どうだん躑躅、椿(港の曙)

花入:白磁 巻貝型 花:雪柳、山茶花


 
 
 
 
 
 
 
紹鴎棚
武野紹鴎の好みと言われ、紹鴎袋棚とも言うそうです。

棚上段左:梅一枝 花器:備前
(棚上段には何も置かないことが多いのですが、一輪ざし、
硯箱、料紙などをを置いても良いことになっています)
棚二段目 茶器 老松

紹鴎棚の使い方
棚には小さな襖がはめ込まれ地袋になっています。向って右側には必ず
水指を入れておきます。左側には柄杓、蓋置を飾る場合もあります。
点前の始まる前に襖を開け、水指を点前の出来る位置まで出しておきます。


   
濃茶入 茶碗

茶碗:白萩 井戸茶碗  仕服:細蔓緞子

濃茶入:黒織部 梅絵付け


  
薄茶器 茶椀

茶器:老松  茶碗:楽 梅絵付け
茶器老松の名前の謂れ
《妙喜庵の待庵(国宝茶室:千利休の考案したものと言われている。現存する最古の茶室とのこと)
の近くに、袖摺り松(秀吉が袖を摺ったとか)と呼ばれる老松があったそうです。
それが朽ちて倒れた時に、これを惜しんで茶人がこの形の茶器を作り、老松と名付けたそうです。》


老松の蓋は蝶番付きの割蓋です。

割蓋を半分だけ開けて、茶を掬います。

 
 
炭点前


炭取

香合:英国土産の小物入れの「見立てもの」です。
炭点前

白く細い炭は枝炭と言い、飾り炭です。


 
 
2月の茶菓子
早春に咲く花々をお菓子にしたものです。春の香りがお菓子からも漂います。

花水仙

椿

 


 
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