桜色の散歩道
ある日夫と短いドライヴ&散歩に出ました。4月下旬の長閑な日でした。小野路の小野神社で車を止め境内を散策しながら写真を撮りました。神社、仏閣の静かな空気を愛した夫は、石段をゆっくりと登って神殿の前に行き、お賽銭を投げて何かを祈っているようでした。それから神木や社にカメラを向けて熱心に撮っておりました。私は写真を撮り続ける夫を遠くから眺めながらその姿を写しておりました。その後立ち寄った野津田のひなびたお寺(名前が分かりません)では写真は撮らず、小高い境内から眼下に広がる菜の花畑の見事さに見惚れていました。最後に車を止めたのは野津田公園でした。すっかり葉桜になった桜並木が、鎌倉街道から700メートルくらい先のグラウンドまで続いていました。ゆっくりと並木の下を歩きながら、夫が「そうか、惜しいことをしたな」とぽつんと言いました。町田には美しい桜の名所が随所にあり、毎年その川沿いや丘陵を歩いていましたのに、家から車でほんの10分くらいの近距離にあるこの公園をなぜか一度も訪れることが無かったのです。来春を期すことが叶わないことを私達は知っていました。「そうね」と返しただけで後は二人とも無言でした。その翌年から数えて4回目、今年も野津田公園の桜並木を訪れました。ここには誰を誘うこともせず人がいない早朝の1時間くらいをゆっくり歩きながら沢山の写真を撮ります。今年の桜は3月21日に開花してからゆっくり2週間をかけて4月6日に最盛期を迎えました。お天気も良く、淡いピンクに朝の日差しが淡いグレーの影をつけていました。今夫の写真の周りはさくら色に染まっています。夫の笑顔がいっそう大きくなりました。 |
夫がNECで仕事をしていた頃にさくらの話を「新田家の掲示板」に遺しています。以前遺稿集に載せましたので、お読みいただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、さくら好きだった夫の横顔をちょっとご披露させていただきます。 |
増上寺のさくら
仕事の合間に時間を見つけて芝公園から増上寺のさくら
の名所を散歩して来ました。芝公園はさくらの下に陣取 ったシートが30〜40位敷かれてあって、昼間なのにもう宴会を始めている組もありましたが、夜の見物パーティ
のために陣取りに来た人達が退屈そうに本を読んでいたり、ラジカセをイヤホーンで聴いたりしているのが目立ち
ました。但しさくらはもう随分散り始めていて、シートの上が花びらでいっぱいになっていました。
増上寺の境内はいろいろな出店が出ていて、賑やかでした。さくらも大木あり、枝の充分伸びた木ありで、見応えがありましたが、特にしだれざくらが多く、これは奇麗でした。
この期間だけ徳川将軍の霊廟がオープンになっていて、寺の後ろにあるので訪れる人も少なく、ゆっくり楽しめました。2代から14代までの将軍の内、7人の立派なお墓
がありました。(あと一つは合祀碑)。家康の墓がないので、何処にあるのか聞いてみたら、日光東照宮と静岡の久能山と上野の寛永寺に分骨して祀ってあるとのことでした。入院が遅れたお陰で、今年も
例年にも増してさくらを楽しみました。
2003年4月7日 謙治郎
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