陶

ボストンへの荷物の中には小さな電気の窯もありました。日本にいた時と同じ土や釉薬が手に入るとは思っていませんでしたが、それに近いものを探し求めて、陶の道具屋や陶芸教室にも行ってみました。そして気付いたのは味わいのある土にはなかなか巡り合えないけれど、色彩豊富な釉薬が容易に手に入るということでした。ならばそれを利用して、今までと違うものを作る良い機会にしようと思い立ち、それからが試行錯誤の毎日となりました。薔薇が薔薇らしく籠が籠らしくなるまでに半年はゆうに掛かりました。ボストンから持ち帰ったいびつな試作品が今でもダンボール箱にいっぱい詰まって、私の傍にいます。日本で手に入り難い色のきれいな釉薬を、帰国時に大量に荷物に入れました。お蔭で今でも小さな花作りを続けて楽しんでいます。

 

     花篭


 

     花瓶入りの花


 

     壁掛け

下の小さなつば付きの帽子はみんな直径が10センチに満たない壁掛けです。道具はレースのコースター(帽子の柄付け)とまち針(ナイフの代わり)、あとは指先だけの作業です。 
プレゼントにすると喜んでいただけるのがうれしくてクリスマスに向けてせっせと作っています。

 

     その他の置物


 

      焼成過程

土からやきものになるまでの過程を写真で簡単にたどってお見せしたいと思います。
素焼き前の窯の中の様子です。湿った陶土で作った花を2日位おくと小さい物は完全に乾きます。それを重ならないように窯の中に並べ700から800℃くらいで焼成します。窯の大きさと内容量にもよりますがこの程度ですと4、5時間で目的の温度に達します。同じ位の時間、窯の冷めるのを待って蓋を開けると素焼きが完了しています。
素焼きの終わった物に釉薬を施した後の様子です。乾かす必要は無く、直ぐに本焼きが出来る状態です。
本焼きが済んだ後の上と同じ花達です。 
1150℃前後で6〜7時間焼いた後、窯を冷ますために同じ位の時間をかけます。 
小さい窯ですから蓋を開けた瞬間に出来、不出来が分かります。 
期待通りの色が目に飛び込んできたときのうれしさといったらありません。 
きっとそれ故にやきものが止められないのでしょう。

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