炉の季節の花入

 夏の間使った風炉を片付け、11月からは炉点前になります。
今月のお茶の大きな行事は炉開きです。新茶を詰めた壺の口を切り、そのお茶で炉点前始めをします。お茶の世界のお正月に匹敵するのが炉開きと言えると思います。
 使う道具も炉の季節と風炉の季節とでは異なります。炉の季節の花入や香合は陶製のものになり、竹細工や木製のものは使いません。茶碗も広口のものは温もりを保ち難いので、あまり使わなくなります。今月は炉開きに因んで、花入れを作りました。た。


 

艶黒徳利型花入


 紅葉が進み始めました。美しい照り葉を引き立てるような花入を作りたいと思い、黒を選びました。
 微妙に融点の異なる藍釉を艶黒釉の上に施し、溶解度に達してから一時間ほど練らしましたら、藍が流れて黒に溶け込んでくれました。これならば紅の邪魔はしないかもしれません。

 
土:
釉薬:
焼成温度:
焼成時間:
焼成方法:
高さ:
口径:
信楽
艶黒、藍釉
1225℃
8、5時間
酸化
18cm
5cm

 

制作の流れ


成形後

素焼後

施釉後

本焼後

 
 
 
 

萩釉筒型花入

 


 黒で作った花入に、照り葉を挿してみましたら、黒が自己主張し過ぎて照り葉と馴染まないことに気付きました。
 そこで色をおさえた筒型の花入を作り足しました。こちらは照り葉と相性が良いようです。前、うしろ、どちらを正面に据えても使えそうです。

 
土:
釉薬:
焼成温度:
焼成時間:
焼成方法:
高さ:
口径:
信楽並、赤粗目
萩藁灰釉
1250℃
8時間
還元
17cm
4cm

 

素焼後

施釉後

 
 
 

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