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母が旅立って2年が巡りました。 50年以上も茶室を保ちましたから、そこに通われた方々の歩みを、すぐ傍らで見聴きして自分のことのように、共に喜び共に悲しんで過ごしてきた母でした。そんな母を慕って下さる方々は、母の
ことをつぶさに覚えていらして下さいます。 |
一年が巡りました。 その月日は、確かではなく、漂うように流れていったような気がします。 母の旅立の日が近づくにつれて、一年前の一日、一日を辿る日々と なりました。 一緒にドライブした一週間前、一緒に美容院へ行った3日前、前日の 電話、母の言葉、母のしぐさ、母の声、母の笑顔と絶え間なく。 皆さんとの偲ぶ会が続いて、慌ただしい一週間が過ぎていきました。 ふと気が付くと、体中が解き放たれたように軽くなっています。 母をいつも傍らに感じるのに、不思議と寂しさは蘇らず、心地良い ぬくもりだけを受け取れるようになっています。 師走に入って一週間、雨は全くやって来ません。空は碧く、陽射しは やさしく、照葉と花々の彩りはまだ衰えを見せません。 穏やかな年の瀬は、母からの贈りものと、一人思うこのごろです。 |
十二月の歌
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十二月の歌
ざわめきを水屋におきてすすみ入る納めの茶室に松風のあり
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