師走の庭の移ろい

 
師走の庭の賑わい
厳しい寒さとは無縁の12月の初旬です。11月の中旬から徐々に進み始めた楓の
紅葉がピークを迎えています。急な冷え込みがありませんから、色は鮮やかさに
欠けますが、気温が平坦なだけに長く葉を保ちました。でも今日は雨に打たれて
葉がはらはらと散り始め、芝に降り積もっています。今年の紅もあと数日でしょう。
どんよりと重い空の下で、雨に洗われた紅がかえって彩を増して見えます。

12月3日

落ち葉

昨日の雨に叩かれ、今朝の北風に当って散った落ち葉です。まだ親木の上半分が散っただけですが、それでも45リットル2袋分ありました。楓の落ち葉を全部集めて灰にし、来年はそれを釉薬にして茶碗を焼いてみようと思います。はたしてどんな色が出るのでしょうか、ちょっとエキサイティングです。                   12月4日

師走の宿根草
気温の変化にも順応して師走の空の下でもまだ元気に咲き続ける残花、季節
を違えたような気温に思わず花を持つ戻花、この冬こそがわが季節と咲き始め
た旬花、照り葉や赤い実と相まって、今月の庭はなかなか賑わっています。


サザンクロス残花

石蕗残花

アンゲロニア残花

綿の木残花

チェリーセージ戻花

サルビア戻花

孔雀菊戻花

勲章菊戻花

時期の花:八手


クリスマスローズ

パイナップルセージ

 
紅葉のlighting up
ライトアップした楓は、昼間とは異なる表情を見せてくれます。道沿いの2本の楓が闇に浮かび上がる様を、わざわざ遠回りして観に来てくださる方もあるようです。一雨毎に盛大に葉が落ちますが、あと数日は黒と赤の彩を楽しめそうです。  12月4日夜

落ち葉と雉鳩

毎朝落ち葉かきをしますけれど、掃いても掃いてもとめどなく葉が散り積ります。紅の葉の中を散歩しているのは、この夏生まれの雉鳩の兄弟(?)です。庭の”まてば椎”から巣立った後も、こうして時々訪れ、庭でのんびり過ごしていきます。  12月14日

白い万両の実

12月も末になりますと裸木と常緑樹ばかりの庭となり、落ち葉かきをすることもなくなりました。お天気に誘われて庭を歩いていて、真っ白な万両が実っていることに始めて気付きました。40年この家に住んで以来初めてのことです。小鳥が運んで来た種から芽生えた木がようやく実ったのでしょう。赤い万両より一回り大きめです。お正月を控え、紅白の万両が揃いました。    12月22日 

 
小さな命のドラマ
 
 天皇誕生日の朝のこと。お天気は上々風も無く、気温も和んで、気分の良い朝でした。
 息子達と、いつもより遅めの朝食を済ませ、庭を背にして日記帳に今日の予定を書き込んでいた時のこと、「どん」と大きな音がしました。
 驚いて振り返ると、鳥の羽が数枚ひらひらと舞っています。何が起こったかは直ぐ分かりました。
 ガラス戸の外を見ますと、花壇の中に灰色の物が横たわっています。ヒヨドリでした。びくとも動きません。
 気付くと一羽のヒヨドリが近くの木の枝に止まり、小首をかしげるようにしてじっとしています。ツガイの一羽だったようです。
 時計を見たら7時半でした。一瞬もがくように動いて体の位置を変えた後はまた動かなくなりました。首はぐったりと延びて、目は閉じていますし、尾羽も地面にペタっと延びきったまま、これは回復は無理だろうと思いました。
 それでも身体はかすかに上下しています。暫く席をはずして戻り、外を見ますと、投げ出されたように平らだったヒヨが少し動きました。延びきっていた首をゆっくりと起こして頭を上げ、尾羽も少し上げて座る様な姿勢になったのです。頭の羽がヒヨドリらしく逆立ってもいるのです。
 時間は8時20分。50分もの時間をかけて息を吹き返したようです。でも土の上にきちんとうずくまる姿勢のまま飛び立つ様子はありません。それから延々30分、目はパチパチしますが、動く気配も飛ぶ気配もなく過ぎました。
 一旦飛び立った仲間が今度は数羽でやってきて、また木の上でじっと様子を見ています。
 一方地面のヒヨは嘴をしきりにぱくぱくし始め、何かを探すようにキョトキョトしています。喉が渇いたか、食料が必要なのかと思い、林檎の切れ端を与えてみようと思い立ちました。
 窓をそっと開けて様子を見ますが、怯えた様子はありません。そっと近ずき、傍に林檎の切れ端を置きました。
 その時、それまで静かに蹲っていたヒヨドリはその姿勢から一気に飛び、窓枠に掴まりました。その瞬発力の凄まじさ、飛び立つタイミングを計っていたのかもしれません。
 あの勢いでぶつかっていながら、傷を負っていたわけでも、脳をやられていたわけでもなかったようです。一瞬窓枠に掴まった後は、何事も無かったように空高く飛び立ち、あっという間に姿が見えなくなりました。
 事故が起こってから蘇生まで50分、体力回復に40分を要したことになります。気が付いたら枝のそこここに止まっていた仲間のヒヨも一羽もいなくなっていました。
 いつも曇っているガラス戸を、磨いたのはつい数日前のこと。網戸もその時外しましたから、彼らにはそこは空の続きに見えたのかもしれません。事故再発防止のために収納した網戸をまた取り出して、はめ直しました。
横たわるヒヨドリ

心配して見守るつがいの一羽

1時間半ぶりに飛んだヒヨドリ

12月23日

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