10月の彩り |
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ボストンにいた頃には私たちを2回訪ねてくれています。既に80歳を越えていましたから、その都度義妹が同行しての渡米でしたが。2回目の訪米は10月始め、ちょうど今頃のことです。夕食の後に母が「私も夜遊びというものを一度してみたい」と言うのです。異論のある人は一人もいなくて、母、義妹、娘、私の女性ばかり四人で真っ暗な夜道(街灯というものがほとんどありません)を車を走らせ、ハーバード大に近い、チャールス・リヴァー沿いのホテルへ出かけました。そこの最上階でお酒を飲みながらジャズを聴くために。ウエイトレスが物も言わずに、ナッツの入ったガラスの器をボンと叩きつけるように置いて引き上げるのを「まあ何と愛想の無い娘じゃねえ」と呆れたり「ここは、なしてこないに暗いんじゃろう」と珍しそうに室内を見回したりしながら、うきうきと楽しそうでした。 12時近くまでねばって外に出ました。母は大層気持が高揚していたのでしょう。「まだ帰るのはもったいない、少し歩いてみたい」と言います。アメリカでは散歩を除けば、駐車場から店までと家の敷地内以外を歩くことはほとんどありませんから、足の達者な母はうずうずしていたのでしょう。でもそんな夜更けに街灯も無い川沿いの道を歩いている人などは勿論一人もいません。第一ここはアメリカ、どんな危険が潜んでいるか分かりません。でも気分の良い晩でしたし、月が道を明るくしていましたし、酔いを醒ます必要もありましたからみんなの気持は一緒でした。「月がとっても青いから、遠まわりして帰ろ」と鼻歌など歌いながら、そぞろ歩いたのでした。 その時空を見上げていた母が「アメリカは何でも大きいけえど、月まで大きい。重いから下のほうにあるんじゃろう」と呟きました。なるほどアドバルーンみたいな月が中空に浮かんでいるように見えました。そういえば、草叢には虫の声も、風に揺れるすすきもありませんでした。今虫の音に包まれて、天空に静まる月を見上げながら懐かしむ事々です。 |
玄関飾り棚
10月の玄関ショーケースから ジャック・オー・ランタン
闇の住人達
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ハロウィーンの日は何になる? Halloweenはもともとケルト民族の宗教行事だったと聞いています。万聖節の前夜(hallows eve)、聖者たちが出てくる前に闇に蠢く者たちがドンちゃん騒ぎをするのだとか。ジャック・オー・ランタンはやはり闇の住人だったジャックが闇を彷徨うために作った提灯だそうです。でも生まれた時からその習慣の中で過ごしてきている人たちは、よそ者の私のようにいちいち行事を珍しがっていろいろ知りたがったりせずに、とにかく楽しむことに徹しているように見えます。もしみなさんがコスチュームを身に着けて、何かに化けるとしたら何になりたいとお思いですか? |
![]() ハンギングのアスパラガスが夏の間にずいぶん繁茂しました。
10月の庭
![]() 照り葉はまだ「はなみずき」だけです。
10月4日写す
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10月も中旬になりました。気候も定まり、心地良いお天気が続いています。日差しに応えるように少しずつ庭に彩が増えてきました。赤く色付いたピラカンサの実に小鳥達が魅せられているようです。
10月14日写す
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