2月の一首

しゃりしゃ里と霜ばしらふむあしもとに節分草のはや咲き出ずる


 2月に入りました。風の強い朝ですけれど、気温は昨朝よりはいくらか緩んでいるようです。
とは言っても一週間前の雪の名残はカチカチに凍ったまま庭の隅にありますし、土は霜柱で盛り上がっています。

 でも自然の営みはさりげなく季節に合せて進んでいるようです。もしかしたらを期待して、花壇の奥の節分草の株まで近づいてみました。
大寒の頃に訪れるこの花は、ある日突然のように土を分けて顔を出し、顔をうつむけてひっそりと咲くのです。
やはり出ていました、節分草の白い蕾が。凍てついた土と枯葉に囲まれて。季節の分かれ目が本当に近づいているのですね。


 
 


2011年2月

母のいけたる椿のくれない色をまし春を手まねく寒の茶室へ


母が生ける茶花がこよなく好きです。
母の花を真似て、同じ素材を生けてみます。でも、形は似ながら花に勢いが生まれません。「花を生けるとは、花を生かすこと」なのだそうです。「花が行きたいように生ければ良いのよ」とも母は云います。 
花の勢いの向く方向を見定めて、それを生かすということなのだと思います。 
5歳の時から茶の湯、茶花に親しんできた母には、花の心を読む力も備わっているようです。母から学ぶことは多すぎて終わりがありません。

 

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