季節の贈りもの
初冬の彩り
 12月に入って半月あまりが過ぎました。少し気温が下がってはきましたけれど、朝夕の冷え込みにさほど厳しさはなく、穏やかな冬の日が続いています。街の中は日毎に賑わいを増して、イルミネーションの華やかな煌きの陰に、不景気は陰をひそめているかのようです。楓がすっかり枝から離れて木々が冬の装いになると、千両、万両の赤が自己主張を始めます。寂しくなった冬の庭の貴重な彩です。
もう20日もすれば年が改まります。来る年がやさしく、和やかな日々であることを願いつつ、静まった冬の空を眺めています。

クリスマス

 今年は少し気分を変え、リースとツリーはピンクとシルバーにしました。
一昨日行ったオペラシティホールのツリーとその周りのイルミネーションが赤と金に統一されていて実に華やかで美しく、この組み合わせも素敵だなと思いましたし、新宿のミロードはブルーと白でまとめられていて、これもまた爽やかな美しさでした。日本のクリスマスの色彩は上品で華やか、センスが光っているものが多いと思います。それも年々磨きがかかっていくようですね。これからの季節、夜の外出が楽しみです。

玄関のリース

クリスマスツリー


 ライティング・ツアー

 12月も10日を過ぎて、何とはなしに人の動きも慌しさを増してきました。月初めのぬくもりの中では魅力を感じなかったクリスマスライトが寒さが増してくると、気持の高まりと連動してくるから不思議です。これで雪でもちらついてくれれば言うことはないのですけれど。クリスチャンではありませんから、クリスマス礼拝に行くわけでもありませんのに、「Dreams come true」のおこぼれだけにはあずかれそうな気がするこの季節です。 母の許にいた頃は母任せの、家庭を持ってからは家族のクリスマス夕食会が楽しみでした。子供達とわいわい言いながら、家中の飾り付けや料理に大忙しの私に「るり子が一番楽しそうだね」と言う、夫の目が笑っておりました。子供達が中、高、大学と成長しても、イヴの夕食には皆が顔を揃えたのは、私の楽しみに付き合ってくれていたのでしょう。子供達が巣立ち、私たちが外に出てからは、クリスマス・イヴの形も少しずつ変わっていきました。始めてアメリカ人の家庭で過ごしたイヴ、ニューオルリンズでのジャズ浸りのクリスマス、ニューハンプシャーの雪に埋もれたイヴ、ショートパンツのサンタクロースが子供達に囲まれていたマウイ島のイヴ、窓越しに東京タワーを眺めて過ごした病室でのイヴもありました。そして夫が退院し、家が新しくなってからは、人を招いての賑やかなクリスマスが主流になりました。何十回ものイヴの中でも際立って煌くイヴが何回かあります。母と過ごした2003年のクリスマスイヴも心に残る素敵な夕べでした。この年に父が逝って、母は肩をすぼめるように小さく寂しげでした。そして私もそんな母を 慰めるような会を開く元気もありませんでした。そんな時に夫が「おかあさまを、クリスマスの灯りを見にお連れしよう。外で食事もいいんじゃないの」と提案してくれて、ライティング・ツアーとクリスマス・ディナーのイヴが実現しました。息子が自分のオフィスのあるビルのレストランに予約を入れてくれました。暗くなりかけた5時過ぎに母を乗せて、夫は先ず母を渋谷に案内しました。母の学生時代の馴染みの場所だと知っていたからです。あまりの賑わいと色の氾濫に驚きながらも「まあきれい、きれい」と母は、はしゃいでおりました。「色がちょっとにぎやか過ぎだわね」とのコメントもありましたが。その次は六本木ヒルズへ。銀とブルーに統一された並木道のイルミネーションに「なんて上品で素敵なのかしら。センスが良いわね」とこちらは最上級のコメントを。そしてガーデンプレイスへ。バカラ社のクリスマスツリーとオーナメントは色彩は抑え目ながら眩いばかりの豪華さ。「まあなんて贅沢なツリーなのかしら。高貴な感じがするわ」がコメントでした。
 息子がビルの外まで迎えに出てくれて、ガーデンプレイスタワー39階のフレンチ・レストラン「プティ・モンド」へと案内してくれました。
 レストランの窓際の席からは、東京タワーを中心に瞬く夜景が180度見て取れました。銀ねずのドレスに銀のコサージを付けて華やぐ母は、大好きなチーズでボジョレーヌーボーをすいすいと飲みながら、「夢みたい」と幸せそうでした。3時間近いディナータイムの間、母は久しぶりに明るい笑顔を絶やさず、その母を見て私たちも心が和みしあわせでした。
 毎年この季節になると、母と私にとって忘れられない夕べとなったあの日のきらめきが、温もりを伴なって蘇ります。
 あれからもう7年の歳月が流れました。年月は事々をその流れの中に組み込んで運び去っていきますけれど、手許に残してくれるものもたくさんあります。
 あの日の再現は無理としても、母と私たちの心に温もりを残すクリスマスは用意できそうな気がします。あれやこれやと思案をめぐらせて楽しむ12月の日々です。
2003年12月 ガーデンプレイスタワー39階からの夜景
「プティ・モンド」のガラス越しに

玄関のオーナメント

 

ファミリールームのオーナメント

 

リビングルームのオーナメント

 

ダイニングルームのオーナメント


ショーケースの中より
この冬、ボストンからやってきたショーケースの中のニューフェイスです。

ひとときの華やぎ
(12月1日〜6日)
庭がモミジに彩られて燃え立つのは、11月の終わりから12月始めまでの
長くても2週間足らずの期間です。暑い夏の影響で今年の紅葉は危ぶまれ
ましたけれど、予想に反して彩りは冴えて、鮮やかでした。時期が例年より
1週間ほど早まり、11月中旬から色付き始めました。4本全ての揃いぶみは
ほんの1週間ほど。庭の隅々まで紅に染めて、あっという間に走り去りました。

もみじを背景に満開の山茶花

12月1日 

色さまざま

12月1日

ライトアップ


12月2日

最後の耀き

12月3日

宴の後

12月6日


 モミジが去って

モミジの照り葉がすっかり落ちると、庭は急に寒々しくなります。
寂しくなった庭で、それでも頑張って色を保っているのは、南天と
ヤマボウシです。昨年は初雪が降った2月までヤマボウシは
持ちこたえて、赤と白の美しいコントラストを見せてくれました。

熟した木の実も冬の庭の大事な彩りです。
千両、万両、吉祥と縁起の良いものばかりです。

草花は姿を消しましたが、冬の木の花が顔を見せ始めています。

玄関周りの花壇では、寒さに強い花たちが、元気です。
北風の中で来春まで彩を保ってくれることでしょう。

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